一方、加瀬くんはこういう展開は全く予想していなかったらしく、不満たらたらでブーブー文句言いはじめる。

「高校生男子が一人でお化け屋敷って、オレ、アホじゃん。そもそも小宮山と入りたくてここ連れてきたんだぞ!?」
「知ってたら来てなかった!」

入る、入らないで、互いに譲らず道端で言い争うこと数分。
だけど、こういう口論が始まっちゃったら、実は私に勝ち目なんてほとんどなかった。というのも、口が上手い上に言い出したら聞かない加瀬くんは、この手の言い争いにとにかく強い。
まだそれほど長いつきあいじゃないけど、すでに私はイヤというほど負けを刻まれていた。経験上、勝てる気が全くしない。

で、今回も折れたのはやっぱり私。
「あーもう。わかったよ、入るよ」

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