いつもなら小宮山はホンワカあったかい空気を漂わせてだっこを満喫すんだけど、今日はなにか様子が違う。
「まさかオマエ、泣いてる!?」
腕の中からグスッとハナをすする小さな音がする。
「ゴメン。涙出ちゃった・・」
「どーしたんだよ。なんか辛いことでもあった?」
「んーん。そうじゃないんだけど・・
・・私ばっかりシアワセだなって。私にはこうやって加瀬くんがいてさ・・」
「?? 何のこと?」
「ゴメン、なんでもない・・」
「アリガト」って言いながら、小宮山はその後もしばらく泣いていた。
それが誰のための涙なのかは、あまり深く考えたくない。
涙拭いてやりながら、小宮山の様子を伺う。
「どう? 落ち着いた?」
「ありがと。元気出た」
「あっそう。ならヨカッタ」
ーーーで。もう喉元、顎の辺りまで出かかってる次の言葉を言うかどうか、一応ちょっとは悩む。
だけどやっぱりガマンはできなかった。
「・・ならさ、チョットだけキスしてもいい?」
コレを言わずにいられたらスゲーんだろうなって思うのに、絶対言っちゃう。
実は純粋にだっこのみを完遂できたことはまだ一度もない。
「うん。ドーゾ」
嬉そうに小宮山が目を閉じる。彼女の湿った頬に、やっぱり唇だけは避けて、ひとつ、ふたつとキスを落としていく。
オレらは強烈に暑い真夏の午後を、潮風に吹かれながらふたりきりですごした。
***
「まさかオマエ、泣いてる!?」
腕の中からグスッとハナをすする小さな音がする。
「ゴメン。涙出ちゃった・・」
「どーしたんだよ。なんか辛いことでもあった?」
「んーん。そうじゃないんだけど・・
・・私ばっかりシアワセだなって。私にはこうやって加瀬くんがいてさ・・」
「?? 何のこと?」
「ゴメン、なんでもない・・」
「アリガト」って言いながら、小宮山はその後もしばらく泣いていた。
それが誰のための涙なのかは、あまり深く考えたくない。
涙拭いてやりながら、小宮山の様子を伺う。
「どう? 落ち着いた?」
「ありがと。元気出た」
「あっそう。ならヨカッタ」
ーーーで。もう喉元、顎の辺りまで出かかってる次の言葉を言うかどうか、一応ちょっとは悩む。
だけどやっぱりガマンはできなかった。
「・・ならさ、チョットだけキスしてもいい?」
コレを言わずにいられたらスゲーんだろうなって思うのに、絶対言っちゃう。
実は純粋にだっこのみを完遂できたことはまだ一度もない。
「うん。ドーゾ」
嬉そうに小宮山が目を閉じる。彼女の湿った頬に、やっぱり唇だけは避けて、ひとつ、ふたつとキスを落としていく。
オレらは強烈に暑い真夏の午後を、潮風に吹かれながらふたりきりですごした。
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