それから少しして夏休みが始まった。

とはいえ、最初の10日間は夏期特別講習という名の講習がある。担当の先生によっては宿題まで出る。一応自由参加というテイではあるけれど、ほとんど強制のこの講習が毎日2限分もあるのだ。
だからホントの夏休みが始まるのはこれが終わってから。

私は前半5日を英語、後半5日を世界史選択にしていた。
4組のドア付近に貼り出された英語クラスの座席表を確認していると、あいうえお順に割りふられた席順の私のひとつ前に「川嶋」さんの名前。
「まさかこれって・・」
イヤな予感がして座席表の前から動けなくなってるところへ、加瀬くんが現れた。加瀬くんの選択は数学と理科総合。私とはひとつもかぶらない。

「おはよ。小宮山、オマエ4組?」
って座席表を眺めはじめた加瀬くんが黙り込む。
「ねえ、この学年、川嶋って何人いんの?」