「ゴメンね、加瀬くん。大好き・・お願い、機嫌直して」
恥ずかしがりの小宮山が、オレの肩に手をかけて頬にひとつ、ふたつってキスしてくれる。
「ド正面からキスすんの無理だったんじゃねーの?」
「今はそんなこと言ってる場合じゃないよ!」

加瀬くん、加瀬くんって小宮山が必死でオレにすがりつく。
抱きついて、一生懸命キスして、頬をよせて。
小宮山が切ない声で何度もつぶやく「好き」がキョーレツに胸にきた。

ああオレ、結構愛されてねえ?

オレは滅多にない彼女の出血大サービスを何食わぬ顔して享受した。興奮して取り乱したりしないように、静かに喜びを噛みしめて。
んだけど、こーゆう時は抑えすぎてもダメらしい。反応の薄いオレにビビった小宮山がそーっと身体を離しはじめちゃう。

「やっぱダメか。それにこんなのイロジカケみたいで卑怯だよね・・てか、全然ひっかかってもくれないし・・」
って悔しそうに目を潤ませる。
「まてまて、イロジカケの何が悪いワケ!? ひとっつもダメじゃねーし、ムチャクチャひっかかってる」