それは小宮山が尚と一緒に日直した日のこと。
オレが帰った後、いつもと様子の違うハルキが珍しく本音で話しかけてきたのだという。
「でさ、ついつい私も本音が漏れちゃって」
「本音って何だよ」
「あーえっと・・うまく言えないけど色々・・」
ハルキには漏らしたという本音を、オレには説明できない小宮山。

「でさ。お互いの家のコト話したりしてるうちになんか・・妙に打ち解けちゃったってゆーか」
「家のこと!? ってまさか、小宮山んちの事情アイツに話しちゃった!?」
目を剝くオレに、小宮山がへへへって笑いながら頷くのだ。
「ウン。まあ、流れで」とか言って。

くっそう、阿保め。笑い事じゃない。
そんなコアな共通点が明らかになったりしたら、親近感抱かれるに決まってるじゃねーか。

他人に心を見せるのが嫌いなハルキにとって、たぶん小宮山は安心して何でも話せる理解者で同志だ。
坂川で小宮山がハルキにしてやったことを思い返してみる。
ヘタレてたアイツの背中優しくさすってやって、万引きしようとしてたことを軽蔑するどころか胸痛めて共感してやって。

そんなの、ホレちゃう。
好きになんだろ、仕方ない。

間違いなく、ハルキにとって小宮山は特別だ。