そして昼休み。
「んじゃ食べよっか」
って弁当の包みを解こうとする小宮山の手を引いてオレは席を立った。
「ここじゃなくて、どっか2人になれるとこ、いこ」
「?? ウン。わかった」

部室棟のほうまで歩いてって、やっとみつけたのは廃部になって使われなくなってたホコリっぽい空き部室。
壁際に置かれたベンチに座って、オレらは目の前のボロい会議用テーブルに弁当を並べた。
珍しそうに部屋の中を眺めたりテーブルの上のゴミを指で弾いたりしてる小宮山の隣で、オレは彼女にバレないようにこっそりと深呼吸を繰り返した。

「聞きたいことが、あんだけど」

小宮山の様子をじーっと観察しながら、ちょっとだけ意味ありげな空気を漂わせてみると、オレの異変を察知した小宮山の背筋がギクリとこわばった。

「・・なに?」
「オマエ最近、ハルキと仲いいの?」
「ーーーーえ!!」

小宮山がわかりやすく青ざめる。

「なんで春樹くんのこと知ってんの!?」
「タレコミがあったんだよ! まさかオマエ・・浮気!?」
「ちっ・・ちちち、違う!!」
血の気を失った小宮山が首をブンブン横にふる。
「たしかに最近よく話しかけられるけど、絶っっ対に浮気じゃない!」
「じゃあ、なんなの」
「そっ、それはその・・なんていうかチョット・・・・」

歯切れの悪い小宮山がグズグズと言いにくそうに口をつぐむ。

「ええっと・・」
「ええっと!?」

「ーーー春樹くんが離れてくれなくなっちゃって・・」
ってため息をつく小宮山にオレは眉を吊り上げた。
「ハア!? それどーゆうこと?? オマエら、なんでそんなことになっちゃってんだよ!」
「ええーっと・・」