冨永は、マナが惚れてる男『コウくん』ことコウキを知っていた。
ハルキは毎朝、コウキら男数人とつるんで電車に乗るのが通常。
なのにここ最近、そっちを抜けて小宮山の周りをウロチョロしてるんだって冨永が言う。

「ハルキってさ、愛想がいいようで悪いじゃん。このイミわかる?」
「わかんねえ。オレ、アイツよく知らねえもん」

ハルキのやんわりとした笑顔と優しい人当たりは、一見愛想がいい。
だけど、無難な言動に終始し、のらりくらりと本音が見えづらく、しかも『他人とは距離を保っときてえ』っていうホントの本音が透けて見えちゃってるハルキは、トータルすると愛想なんか全然よくないんだって冨永は言う。

「オレ、何回かアイツと話したことあるけど、ちょっとやそっとで心開いたりするようなヤツじゃねーの。ガードが固すぎて」
「あーそれはわかる。なんとなく」