腕の中で気持ちよさそうにしてる小宮山の様子に、オレは一応、胸をなでおろした。
だけど結局オレはハルキのことを小宮山に聞くことができなくてーーー

何でもかんでもすぐに口に出しちゃうオレが、一言もそれに触れられないまま悶々と週末をやり過ごし、寝不足とストレスにまみれながら迎えた月曜の朝。オレは冨永から、またまた頭が痛くなるような話を聞いてしまう。

最近、登下校中に小宮山とハルキがよく一緒にいるって。

「登下校中!? って小宮山はオレと一緒に帰ってんのに、なんで!?」
「オマエがいねー時だろ。オレが見るのは朝だけど。ハルキが目立つから結構噂になってんぞ」

理科室だけじゃねえのかーーー

オレの知らないところで、ハルキが勝手に小宮山を侵食してく。

「アイツ、小宮山のこと好きだぞ、絶対。オマエ、取られちゃうんじゃねえ?」
心の準備だけはしとけ、とか言って無遠慮にオレの顔をジロジロと眺める冨永。
「やっぱ負けてる。顔が」
「顔は関係ねーだろ!?」
「あんじゃねえの? オレが女子ならイケメンがいいもんね」
「くっそう。悪かったな、イケメンじゃなくて!!」