窓の下から手を伸ばし、私の手首をガシッて掴んだ春樹くん。
彼はそのまま、ずずずと私を窓の外へ引っ張った。窓枠から乗り出してしまった上半身を抱えるように春樹くんが腕をまわしてくる。
「ちょっとちょっと・・なにする気!?」
慌てる私に春樹くんがすうっと顔をよせてきてーーーんでまた思った。キスされる、って。
ムリヤリ首をひねって春樹くんから逃げ出した私は、今度は窓枠にしたたかに頭をぶっつけた。
「いったああ」
あの時と同じように、私の頭をなでながら苦笑いする春樹くん。
「そんなにイヤ? オレのこと」
「ヤだよ。加瀬くんとだってしたことないのになんでハジメテを別の人としなきゃなんないの!?」
春樹くんの手をふりはらって私は頭を起こした。
「ブスにヘンなことしないでよ」
「ブスなんて思ってない。ゴメン」
悲しげに顔を歪めた春樹くんが私を見上げる。
ここで彼の強気は突然、ポッキリと折れた。
私の手を握りしめて離さない。すがるように私をみつめる目は必死だった。
「オレから離れていこうとしないで。何でもするし、オレの全部、何でもあげる。だからお願い、オレのそばにいてよ・・」
隠しきれない不安の滲む春樹くんの声は、少し震えていた。
その姿に胸が強烈に痛んだ。
だってよーく知ってる。こういう気持ち。
春樹くんの浮き沈みが、手に取るように全部わかる。
今、春樹くんは不安でいっぱい。
私が本気で離れていこうとしてるから。
私はたぶん、春樹くんにとってちょっと特別な位置にいる人間で、春樹くんはたった一人の、唯一の『同士』を失うのが怖くてたまらない。自分の足で立ってられる自信がないからだ。
彼のそーゆう気持ちの中に恋愛感情が混ざっているのかどうかは微妙なところで、本当のところは私にもよくわからない。
んだけど、春樹くんの萎れた姿は、弱りきって崩れる寸前だったあの頃の自分を嫌でも思い起こさせた。
自分と重なるのだ。どうしても感情移入してしまう。
本当なら容赦なくトドメを刺して完全に突き放さないといけないトコなんだろうけど、私にはどうしてもそうすることができなかった。
理科室の窓の向こう側に、ぽつんと立ち尽くす春樹くん。
気づけば私の手の中で、クローバーがくったりと萎れはじめていた。
彼はそのまま、ずずずと私を窓の外へ引っ張った。窓枠から乗り出してしまった上半身を抱えるように春樹くんが腕をまわしてくる。
「ちょっとちょっと・・なにする気!?」
慌てる私に春樹くんがすうっと顔をよせてきてーーーんでまた思った。キスされる、って。
ムリヤリ首をひねって春樹くんから逃げ出した私は、今度は窓枠にしたたかに頭をぶっつけた。
「いったああ」
あの時と同じように、私の頭をなでながら苦笑いする春樹くん。
「そんなにイヤ? オレのこと」
「ヤだよ。加瀬くんとだってしたことないのになんでハジメテを別の人としなきゃなんないの!?」
春樹くんの手をふりはらって私は頭を起こした。
「ブスにヘンなことしないでよ」
「ブスなんて思ってない。ゴメン」
悲しげに顔を歪めた春樹くんが私を見上げる。
ここで彼の強気は突然、ポッキリと折れた。
私の手を握りしめて離さない。すがるように私をみつめる目は必死だった。
「オレから離れていこうとしないで。何でもするし、オレの全部、何でもあげる。だからお願い、オレのそばにいてよ・・」
隠しきれない不安の滲む春樹くんの声は、少し震えていた。
その姿に胸が強烈に痛んだ。
だってよーく知ってる。こういう気持ち。
春樹くんの浮き沈みが、手に取るように全部わかる。
今、春樹くんは不安でいっぱい。
私が本気で離れていこうとしてるから。
私はたぶん、春樹くんにとってちょっと特別な位置にいる人間で、春樹くんはたった一人の、唯一の『同士』を失うのが怖くてたまらない。自分の足で立ってられる自信がないからだ。
彼のそーゆう気持ちの中に恋愛感情が混ざっているのかどうかは微妙なところで、本当のところは私にもよくわからない。
んだけど、春樹くんの萎れた姿は、弱りきって崩れる寸前だったあの頃の自分を嫌でも思い起こさせた。
自分と重なるのだ。どうしても感情移入してしまう。
本当なら容赦なくトドメを刺して完全に突き放さないといけないトコなんだろうけど、私にはどうしてもそうすることができなかった。
理科室の窓の向こう側に、ぽつんと立ち尽くす春樹くん。
気づけば私の手の中で、クローバーがくったりと萎れはじめていた。