「英語の教科書にでも挟んどいてよ。すみれちゃん、英語好きでしょ?」
甘ったるい声でそう言いながら、ハルキが小宮山の手にクローバーを戻す。
なんだかスゴク大切そうに。そおっと。
「じゃあ、そうしよっかな」って答える小宮山をみつめるハルキの顔が嬉しそうに溶けていく。

「なくさないでね。すみれちゃん・・」

オイオイ、ちょっとまて。

あれ、誰!?
ホントにハルキなの!?

完全に心開いちゃって嬉しそうに楽しそうに小宮山をみつめるハルキと、これまたいつの間にかヨソイキの顔じゃなくなってる小宮山とが、妙にしっくり馴染んだ空気を作り出す。

アイツら、いつからこうなった?? 

飛んでって割って入りたいけど、声も出ない。
心がすくんだ。それと一緒に足もすくむ。

そっか。きっとコレが小宮山の不調の原因だ。
元気がないのは、このことをオレに打ち明けられないからーーー

そーっとその場を離れて、オレは静かに教室に戻った。
理科室にハルキと小宮山を残したまま。

***