その帰りに小宮山にもクギを刺される。
「もう教室はやめとこーね?」って。
「ゴメン、オレ尚が戻ってきたの全然わかんなかった」
「私も。全っ然・・」
チョット夢中になりすぎてた。それはたぶん小宮山も一緒。

「じゃあ教室はやめる」
「ウンウン、そーしよ。さっきの桜井くんでまだよかったよ。不幸中の幸い」
なんて言って小宮山はホッとしたようにオレを見て笑うんだけど、オレはあんなの消化不良もいいとこだった。それでついつい、小宮山の醸し出す『もうおしまい』の空気を無視してシツコク食い下がっちゃう。

「ねえ、どこならいい?」
「え?」
「どこならできんの? オレまだしたかった」
うっすら顔を赤らめた小宮山が黙り込む。
「なあ、聞いてる??」
「ウン、まあ・・聞いてるケドさ」
「んじゃどこならいーか言ってよ。今スグ」

「ええーっとお・・」

そんな話をしながら改札をくぐる。
改札出てすぐのホームは小宮山の乗る下り線、オレは陸橋渡って向こう側の上りに乗る。