「小宮山、スキ・・」

スリスリと繰り返される頬ずりに、私はたまらずギュッと目を閉じた。
うっわあ、やっぱカワイイーーー!!
実は加瀬くん、甘え方がめったやたら可愛いのだ。
こんなふうに甘えられると、私はどーしてもダメって言えなくなる。

「ねえ、いい?」
「ウ、ウン。いいよ・・」
「へへ。んじゃ、チョットだけね?」

ウエストにゆるく巻きついてた腕がするりと上がって、胸のすぐ下辺りをしめつける。さっきまでの可愛い頬ずりが今度はキスに切り替わった。
唇だけは避けて、顔のあちこちに優しいキスがふってくる。

加瀬くんに好きって言ったあの日、早速ほっぺにひとつキスを落としてきた加瀬くんに、手はゆっくり出してねってお願いしたハズだった。
だけど加瀬くん、翌日にはもう、その約束をすっかり忘れてて・・

「まってまって。コレどういう状況!?」
「どうって、見たまんまだケド・・」
前日と同じ、百日紅の木の下。
背中には硬い木の幹、すぐ目の前には加瀬くんの顔。
「キスしよっかなって」
「いやいや、チョットまって?」