加瀬くんとの関係が友達から恋人に変わっても、私の日常にほとんど変化はなかった。変わったことといえば数プリ取り上げられたことくらいで、あとは何にも。
あんなにビビってたのがバカバカしくなるくらい、加瀬くんとのオツキアイは怖くもなんともなかった。それどころか私は幸せで。

たとえばこんなふうに加瀬くんの胸にスッポリ抱きしめられるとーーー

「はあ。スッゴイ安心する・・」
「オマエ好きだね、コレ」

知らなかったのだ。
だれかに抱きしめてもらえることが、こんなにシアワセなものだったなんて。

私は今、かつての私には未知だった、新しい種類のシアワセを手に入れていた。ひとりじゃ絶対に手に入らなかった類いのシアワセを。