そうだ、そうだった。
まだ言ってなかった、私の気持ち。
加瀬くんにきちんと伝えなきゃいけなかったのに。

加瀬くんが、催促するみたいにぎゅうっと腕に力を込めてくる。
彼の腕の中は、相変わらずスゴクスゴク気持ちがよかった。こんなに安心していられる場所を、私は他に知らない。
ホントはそれを伝えられたらよかったんだけど、言えたのは結局たった一言。

「好き、加瀬くん」

「やっと聞いたわ、それ」
加瀬くんの顔がシアワセそうに崩れてく。
「これでもう、オマエのことちゃんと手に入ったって思ってもいんだよな? もうオレのもんだって思ってもいい?」
「ウン。もちろん」