なにはともあれ、3日って期限に十分間に合って、オレは友達から彼氏に昇格し本当に小宮山を手に入れた。

もうだーれも文句言わない。
オレらは晴れて、公認のカップルになった。

チャイムが鳴って、それぞれが散っていった後で、念のため小宮山のデコを確認しておく。
彼女の前髪を指にひっかけて持ち上げ、その下に隠れる丸い跡を指の背でなぞった。
「赤いの治んねえな」
「ああ、大丈夫大丈夫。こんなの全然ヘーキ」
なんてことないやりとりだけれど、こうやって顔をよせ合ってるとどうしたっていい雰囲気になってきちゃう。
またもじんわりと色づきはじめる彼女に目を奪われていたら。

「なあ加瀬」
冨永が小声で話しかけてくる。
「やっぱりオマエ、さわり慣れてるね?」
「エ?」
「実はとっくに手え出してただろ」
お調子者のくせに一番鋭いのはたぶんコイツに違いない、とオレは思うのである。