彼女の瞳がオレを捉えて、視線が絡む。

そしたらいきなり、小宮山が真顔のまま赤面したのだ。それはもう、すんごい勢いで。
途端、この場にいる全員の視線が「おおっ!」と彼女に集中した。
そんな中でもオレのために何か言おうとして尚のほうへと顔を上げた小宮山だったが、結局何も言えないままポキッと折れて、慌ててオレに視線を戻してくる。
困り果てた真っ赤な顔で、助けを求めるみたいにオレをみつめる彼女。

なにそれ。オレに甘えてんのーーー?

ガラにもなくオレは口をつぐんでモジモジと黙り込んだ。彼女のために何か言ってやりたいって思うのに、胸がイッパイでひと言もしゃべれない。
そのうちオレらの間に甘ーい空気が漂いはじめ、それに気づいた周りのヤツらもウッスラと顔を赤らめてしーんって静まり返った。

最初にその沈黙を破ったのはマナだった。
「・・もういい、よーくわかった。信じらんないけど、あんたホントにすみれの彼氏になっちゃったんだね」
「おう」
「あんたのこと全然好きじゃないし、すっごいムカツクけど・・仕方ないよね、オメデト」

相変わらずハラの立つ女だが、素直に負けを認めるところは潔い。