一方、オレの周りには男が集まっていた。翔太と尚と、それから冨永。

「ヨカッタなあ、律。うまくいって」

恋が実った幸せを噛み締めるオレに、尚が声をかけてくる。
だけど口ではヨカッタとか言いながら、目を細ーくすがめて訝しむようにオレを見るのだ。
「念のため一応確認させて。小宮山はちゃんと納得してんのか?」
「当たり前だろ。おまえ、小宮山の顔ちゃんと見た!? ほっぺがピンクだろーが。シアワセそーにしてるだろ?」
尚が女子の輪のほうへ首を伸ばして小宮山を見る。
「まあ・・チョットは赤いかもね」
「あれ見てわかんない!?」
「わかんない」

尚だけじゃない。翔太も全くおんなじだった。

「ホントにうまくいったわけ? 律の勘違いとかじゃなく??」

ふたりとも、ひとつもオレを信じちゃいない。
そんなことは有り得ねえって決めつけてかかってんのだ。

「ホントだって。オレらゆうべからつきあってんの!」
「・・って言われても信じらんねえよ。昨日はフラれてたじゃねえか。ナンベンも」
「んだから、あれはフラれてたわけじゃねんだって!!」

オレがどんだけホントだって言っても全然信じてもらえない。
ゴリ押しして無理矢理小宮山を頷かせたか、オレの妄想か、そのどっちかだと思われてる。