「朝からイチャつくな! やることがヤらしーんだよ、オマエは!! いい加減にしろ!!」

目眩がした。い、今の見てた!?

「いてーな、なんなの!?」
「なあオマエ、まさかとは思うけど・・小宮山とうまくいったの?」
「まーな! オレ、もう彼氏だぜ!」
加瀬くんが得意そうに胸を張り、冨永くんは目をむいて交互に私たちを見た。

「ウソだろ・・!? うまくいくとか・・そんなことある!?」
「それがあんだよ」

イヒヒって妙な笑いを漏らす加瀬くんの様子に、冨永くんがイライラと顔をひきつらせる。
「くっそー、なんかハラたってきた!!」
彼はそう叫ぶと、そこらへんにいた男子を適当につかまえて、「コイツらつきあいはじめたって!」って言いふらしはじめてしまった。

とたんに教室が沸いて、加瀬くんのまわりにわーって男子が集まってくる。
栞とナナがビックリしてこっちを見てたけど、波にのまれてふたりの姿はすぐに見えなくなった。

男子のイジリとヤジが飛び交う。

「ウルセー、いちいち騒ぐな!」

応戦する加瀬くんの顔が赤すぎて、それがますます男子を喜ばせてしまい、結局朝のHRがはじまるまでその騒ぎは収まらなかったのである。

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