もう数プリどころじゃない。
焦った私はスマホを取り出してアプリをひらくと、春樹くんからのメッセージをそのまま全部加瀬くんに見せた。ホントにありきたりなただの社交辞令がひとつ、ふたつと並んでるだけ。これさえ見えてもらえればきっと大丈夫って思って。

「ね? 別にどってことないでしょ??」

だけどそれでも加瀬くんの表情は晴れないのだ。

「あいつとLINEしないで」
「え??」
「遊びに行くのもやめてくれ。マナが一緒でも絶っ対にイヤだ」

私は加瀬くんのこの言動に少なからずショックを受けた。
彼への気持ちを疑われてるみたいな気がしたからだ。

「・・LINEはゴメン。んでも加瀬くんが嫌ならもう絶対しない」
「うん。そーして」
だけどね? と、私は怒りを滾らせた。
「彼氏がいるのに他の男の子と会うつもりなんてなかったよ? なんでそんなことゆーの!?」
非難の目を向ける私に、下を向いたままの加瀬くんがチラッと上目で視線を送ってくる。

「・・だって赤かったから」
「赤い?? 何が?」
最後から2番目のの問題にゴシゴシと消しゴムをかけながら彼が言う。
「昨日アイツと話してた時、小宮山の顔スゲー赤くなってた。オレんとこからでもわかるくらい。あれ、なんで?」
ちょっと傷ついた表情で私をみつめる加瀬くんと目をあわせたまま、私は必死で記憶の糸をたぐった。

そんなことあった? あんな状況で? 
私が春樹くんに赤面した??

全く心当たりがない。

ん? アレ・・でもまって、たしかーーー