こんなにこそばゆい朝は初めてかもしれない・・と、思う。

「加瀬くん、おはよ」

目の前の背中に声をかけると、椅子に逆向きに座りなおした加瀬くんが身体ごと後ろを向いてきて、照れ臭そうに「オハヨウ」って朝の挨拶をくれる。

「・・・」
「・・・」

お互いになんとなく気まずくてしゃべれない。
どうしようかなこのカンジって思ってたら、急にハッとなった加瀬くんがふたりの間に漂うなんとも言えないナマぬるい空気をふきとばした。

「小宮山、まさかとは思うけど気が変わったりしてねーよな?」
「気が変わる??」

ポカンとして加瀬くんをみつめ返すと、疑わしそーうな顔をした加瀬くんが探るような目でじっと私を見るのだ。
「オツキアイの話だよ。オマエ一晩ゆっくり寝て起きたら、やっぱりやめる!とかグズグズ言い出すんじゃねえかと思って」
「い、言わないし!」

すんごい心外。
だけど私の場合は自業自得であった。

だけどね? 信じてほしい。
ずっと、ずうっと好きだった。だからーーー

「ヤだ、絶対やめない。彼女のままでいたい・・」