その失態の翌日、私たちは調理実習でカップケーキを焼いた。
余りすぎた材料を持て余した先生が、追加で作ってもいいわよ~って言い出して、女子ばかりが集まった私たちのグループは張り切って当初の予定より2倍も多くカップケーキを焼いたのだ。 
授業の最後にひとつ食べて、残り3つはお土産。
ウキウキと教室に戻ってくると、やたら物欲しげな視線を感じる。

加瀬くんだ。
すんごい見てる。私の抱えてるタッパーを。

さっき1人2コは食べたはずなのになぜ?

首をひねりつつ席につくと、私を待ち構えていた加瀬くんが「いいなあ、オマエら。余分に作ったんだろ?」ってタッパーをのぞいて目を丸くした。
「こんなにあんの!? これ全部小宮山の?」
「ウン、そう」