「なあ、初めて一緒にチョコ食べた時のこと覚えてる?」
「ウン、覚えてる」
それはたぶん新学期初日のこと。加瀬くんがうっかり私の手にチョコをバラまいた日のことだ。

「あん時、もう好きだったって言ったら信じる?」
「んでもあれって、初めて会った日だよね?」

加瀬くんが照れくさそうに頷く。一目惚れなんだ、って言って。
「あれはさ、緊張して手元が狂ったんだぜ。オレ、すっげードキドキしてたから・・」
加瀬くんが懐かしそうに目を細めた。
「あれからずーっと好き。今もおんなじ。小宮山のことがすげー好き」

「小宮山んちのことはよくわかんないけど、家族の愛情足りてねえんだったら、足りないぶんはオレがあげる。オマエがほしいだけ、どんだけでも」