「さてと。帰ろーぜ」

お尻をパンパンはたいて、加瀬くんが立ち上がった。
後半、ほとんど尋問みたいになってた加瀬くんの告白が今日のところはどーにかこーにか、一旦おひらきとなった。

疲労困憊でべったり座り込んでる私の腕をとって、加瀬くんが電車の時間を確認しはじめる。
「あー・・、上りはいいヤツがねえ。下りももうムリ?」
「間に合わないけどいーの。今日は上りに乗るから」
「どっか行くの?」
「モールのおっきい本屋に行こうと思って」
って言ったら、
「じゃあ、オレも行く」
って加瀬くんがそれにのってきた。

「エ!?」
「オレも行きたい。坂川」
「なんで!?」
「なんでって、一緒にいたいからに決まってんだろ」

さっきあんなハナシしたばっかり。
しかも返事は保留中だ。
こーゆう時はお互いに少し距離をおいて、ここでバイバイしとくのが普通なんじゃないだろか・・って私は思うのだ。
だけど、加瀬くんに私の普通は全く通用しない。

「気マズくなったりしないわけ?」
「全然」
「あ、そう」