そこへまたマナがひょっこりと顔を出した。
「ねえ、すみれ。花火の話だけどさあ・・」って机のそばにしゃがみこむ。

「オイ、割り込むなよ。今大事な話の真っ最中! オマエはさっき断られただろ!?」
「それはあんたもでしょ!」

心底忌々しそうに加瀬くんを一瞥してから、マナがこっちへ向き直る。
「とりあえず保留にしとくからもうちょっと考えてみてよ。気が変わったら一緒に行こ?」
そうやって私を誘ってくれるマナに、加瀬くんが懲りずに食いついてって不満をぶつけた。
「なんでそんなハルキばっか推してくんだよ! 小宮山に男会わせよーとしないでくれる!?」
きりきりと眉を吊り上げて怒る加瀬くんをマナがフンて鼻で笑った。

「あんたと違ってハルくんはね、絶対にすみれと相性がいいの!」

マナが言う。
だって同じニオイがするから、って。
醸し出す雰囲気が似てるんだ、って。

「ね? すみれもそう思わない?」

びっくりした。
だって、私の心当たりってのが正にそれだったからだ。

春樹くんと私が同じニオイを放ってるっていうのは残念ながら本当の話だ。
ただし、それと異性としての相性の良し悪しは全く関係ない。