「バ、バカ言え。そんなん、絶っっ対にダメ!」
血相変えた加瀬くんが割り込んできて叫ぶ。
「小宮山の友達はもう間に合ってる!」
「間に合ってる?? イミわかんない。てか、なんであんたがいちいち口挟んでくんの?」

「だってオレは小宮山の・・」って言いかけて加瀬くんがぐっと口をつぐんだ。
んで、そのまま腕を組んで、天を仰いで、地団駄に近い貧乏ゆすりをはじめる。

「くっそおお、オレには肩書きがなんもねえ!!」

いよいよマナが怯えた目をして加瀬くんを見はじめた。
すうっと私に身体をよせて、こっそりささやいてくる。

「ねえこいつ、アタマ大丈夫??」
「ムチャクチャ正常」

ああどうしよう。
やっぱり全部、私が悪い。

「加瀬くん、話がある。今日一緒に帰ろ?」
私の硬い声にビクッて身体を強張らせた加瀬くんが恐る恐る聞いてくる。
「・・それってイイ話?」
「・・・」
なにも返せないでいる私の様子に「わかった。一緒に帰る・・」って元気なくつぶやいてから、加瀬くんは途端に静かになった。

そしてここでチャイムが鳴り、この騒動は一旦お開きとなる。