ウンて言って、小宮山

「ねえ、あれからハルくんとLINEしてる?」
「まっっさか。全然」
勢いよく首をふりまくる私に、マナが首をかしげる。
「ホントに・・!? ハルくんからLINEこない??」
「くるわけないでしょ。なんもないよ」

前に4人で遊んだ時、その場の流れで連絡先だけは交換した。
その夜に一度だけメッセージがきたけれど、社交辞令みたいな会話をちょこっとしただけ。
あれ以来、お互い何のやりとりもない。

「うっそ、そんなハズない! ねえ、あんまりそっけなくしたらハルくん遠慮しちゃうよ?」
なーんて眉間にシワをよせるマナの、そのとんでもない大間違いに私はのけぞった。

「遠慮!?? いやいやいやーーーチョットまって?」

顔面偏差値がバカ高い春樹くんは学年でも有数のイケメンなのだ。
私は断じて、あんなイケメンに気を使われるような女ではない。
マナには仲良しの男友達でも、私には違うのだ。

だけど、マナはそんなこと全然気にしない。
「しょーがないな。んじゃ、ハルくんにLINEするようゆっといたげるわ」
って嬉しそうにするマナにギョッとした。
「冗談でしょ!? そんなのいいよ、とにかく行かない!!」

私の剣幕に目を見張るマナ。
さすがの彼女も雲行きのアヤシサに気がついて、そろそろしょんぼりとしはじめる。

「・・花火、行かない?」
「行かない」
「そ、そう・・」

ゴメンね、マナ。
花火誘ってくれて、すごーく嬉しかったけど。
だけど行かない。絶対に。

折れる様子のない私にマナががっくりと肩を落とし、「ああよかった。なんとか諦めてもらえそう」って、そう思った矢先のことである。

「やだやだ、今回だけは一緒に行って! 私、花火大会の日にコウくんに告白するからついてきてよお。一生のお願い!」
「えええ!??」

マナに思いっきり泣きつかれてしまったのだ。