加瀬くんの破壊力は私の想像をひとつもふたつも上回り、これでもかってほどその威力の凄まじさをみせつけてくれた。
だって知らなかった。好きな人に求められることがこんなにも嬉しいものだったなんて。
大好きな男の子の腕の中で、私はほとんど前後不覚の状態に陥っていた。
ああ、溶けそう。
心も身体も、全部。
言われてみれば、私も同じ。
勝手に、自然に、こんなになっちゃう。
もちろん、口も勝手に動いてて・・
「わかった。欲しいなら全部あげる。だからこのまま友達でいてよ」
「マ、マジか、やったぜ!!」
ほっぺをぎゅううっと押し当てて、加瀬くんがぐりぐりと力いっぱい頬ずりする。
「こーやってオマエがそばにいてくれんだったら、いっくらでも友達でいてやるわ!!」
大喜びで友達を快諾した加瀬くんは、
「んじゃせっかくだから、もーちょいこのままね?」
って言って、私をヨイショって抱え直した。
「なあ、キスしたら怒る?」
「当たり前じゃん! いきなりそんなことできない!」
「くそー。全部くれんじゃねーのかよ。じゃあ、許容範囲の交渉しよーぜ」
「・・それ、今日はもうしたくない」
一応ここは公園だ。
人目につきづらい場所ではあるけれど、こんなふうにいつまでもくっついてちゃマズイのだ。なのにどうしても離れられない。
「も、いい。我慢できない、苦情は後で聞くことにする!」
言うなり、加瀬くんがすうっと顔をよせはじめる。
彼の唇が届くまであと少しーーーのハズだったのだが。
近くで遊んでいた子たちが蹴ったサッカーボールが「びゅん」と百日紅の枝を掠めてゆき、それが私たちの頭上でザザザッとものすごい音をたてた。ド肝を抜かれた加瀬くんが大慌てで急ブレーキを踏む。
のどかな公園に一瞬だけ緊張が走り、皆、固唾を飲んでサッカーボールの行方を見守った。
数メートル先に落下したボールが、トン、トン、トン・・って転がってゆき、しばらくしてゆるっと止まる。その軌跡を静かに目で追っていた男の子たちがボールめがけて、また「わーっ」て元気に駆け出した。
もうキスどころじゃない。バクバクと鳴る胸をおさえて、ふたりして「はあっ」てため息をつく。
「くっそーー、ガキに邪魔された!!」
「びっくりしたあああ・・」
ハラハラと白い花びらが舞う中、顔をあげた加瀬くんが名残惜しそうに私の頬をなでた。
「好きだよ、小宮山。あ、友達としてネ?」
だって知らなかった。好きな人に求められることがこんなにも嬉しいものだったなんて。
大好きな男の子の腕の中で、私はほとんど前後不覚の状態に陥っていた。
ああ、溶けそう。
心も身体も、全部。
言われてみれば、私も同じ。
勝手に、自然に、こんなになっちゃう。
もちろん、口も勝手に動いてて・・
「わかった。欲しいなら全部あげる。だからこのまま友達でいてよ」
「マ、マジか、やったぜ!!」
ほっぺをぎゅううっと押し当てて、加瀬くんがぐりぐりと力いっぱい頬ずりする。
「こーやってオマエがそばにいてくれんだったら、いっくらでも友達でいてやるわ!!」
大喜びで友達を快諾した加瀬くんは、
「んじゃせっかくだから、もーちょいこのままね?」
って言って、私をヨイショって抱え直した。
「なあ、キスしたら怒る?」
「当たり前じゃん! いきなりそんなことできない!」
「くそー。全部くれんじゃねーのかよ。じゃあ、許容範囲の交渉しよーぜ」
「・・それ、今日はもうしたくない」
一応ここは公園だ。
人目につきづらい場所ではあるけれど、こんなふうにいつまでもくっついてちゃマズイのだ。なのにどうしても離れられない。
「も、いい。我慢できない、苦情は後で聞くことにする!」
言うなり、加瀬くんがすうっと顔をよせはじめる。
彼の唇が届くまであと少しーーーのハズだったのだが。
近くで遊んでいた子たちが蹴ったサッカーボールが「びゅん」と百日紅の枝を掠めてゆき、それが私たちの頭上でザザザッとものすごい音をたてた。ド肝を抜かれた加瀬くんが大慌てで急ブレーキを踏む。
のどかな公園に一瞬だけ緊張が走り、皆、固唾を飲んでサッカーボールの行方を見守った。
数メートル先に落下したボールが、トン、トン、トン・・って転がってゆき、しばらくしてゆるっと止まる。その軌跡を静かに目で追っていた男の子たちがボールめがけて、また「わーっ」て元気に駆け出した。
もうキスどころじゃない。バクバクと鳴る胸をおさえて、ふたりして「はあっ」てため息をつく。
「くっそーー、ガキに邪魔された!!」
「びっくりしたあああ・・」
ハラハラと白い花びらが舞う中、顔をあげた加瀬くんが名残惜しそうに私の頬をなでた。
「好きだよ、小宮山。あ、友達としてネ?」