私を試すように何度も何度も繰り返される甘ったるい頬ずり。
徐々にマッシロになってく頭に、加瀬くんの声が響く。

「オマエ、今自分がどんな顔してるかわかる?」
「さ、さあ。ワカンナイ・・」
「すんげートロけた顔してるヨ? 胸の音だって、ほら・・」
って目線を私の胸元に送ってみせる。
「ね?」

もっとお互いの顔がよく見えるように、加瀬くんが少しだけ角度を変えて私を抱えなおした。
「なあこれ、どーゆうコトか説明してよ」
満面の笑みを浮かべた加瀬くんがわくわくと私の顔をのぞきこむ。
「なあ、なんで?」

ああ、そうか。私の気持ち、もうバレてんだーーー

どうしよう、どうしよう。なんて答えたらいい?
どーにかしてこの場をウマく誤魔化す方法、起死回生のイッパツをひねり出さなきゃいけないのに、ちっとも頭がまわらない。