それは本当の本当に、いきなりの出来事だった。

小宮山が蕩けたのだ。
オレの手の中で、突然。

小宮山の頬に添えた両手に力が入る。
「おっ、おまえーーーコレ、どうしちゃったんだよ!??」
「ななな、なんでもないッッ!!」
慌てた小宮山が凄い勢いでオレの手をひっぺがして下を向いた。
「別にどーもしない」

「ウソつけ。なあ、コッチ向いてよ。顔見せて?」
「ヤだ」

「・・って言われても見るよなあ」

何が何でももう一度、今の顔が見たい。
オレは嫌がる彼女をなだめすかし、最終的にはほとんど力ずくでその顔面をすくいあげてみたのだ。
けれども、そこにあったのは全然かわいくないムスッとしたフクレヅラ。

「アレ? さっきの顔は・・??」

見間違いか?
いやいや、確かにオレは見た。
ドキドキと胸の鼓動が早くなる。
今のって「嫌がってない」なんてレベルの顔だった??

いや、違う。あれってもっとーーー