「あー美味かった。ゴチソウサマ!」

アイスを食べ終えた私たちは、いよいよペンを落とす作業に取りかかった。
まずはさっきコンビニで買ってきたものを取り出して、すぐそばのコンクリのふちの上にズラーっと並べる。
手鏡やティッシュ、あとゴミ袋なんかも一緒に。

「よし。じゃあやろっか」
「おう」

私はクレンジングをしみこませたコットンを準備して「ハイ」ってそれを加瀬くんに差し出した。だけど、私の手元に視線を落とした加瀬くんが不服そうに首を横にふるのだ。
「違う違う。オレじゃなくて小宮山がやんの!」
「なに言ってんの、自分でやってよ。ハイ、これ使って?」
だけど加瀬くんはプイって横を向いて腕を組み、そのまま拒否の姿勢を崩さない。
「イヤだ。小宮山がして」

この事態に私は慌てた。
「じょ、冗談でしょ。私にここで加瀬くんの顔に触れってゆーの!?」
「ウン、そう。やってよ」
「そんなのムリ!」

ところが。断固拒否の私に加瀬くんが持ち出してきたのは、なんと今までに一度も使われたことのなかった3番目の条件でーーー

「オレのこと一番大事にしてくれんでしょ? ならやってよ」
「・・・・エ!?」