そして放課後、私たちはいつもの百日紅の樹の下に並んで腰をおろしていた。
日陰とはいえ、強烈に暑い。
真夏の午後の公園はそれなりに地獄だった。

なのに加瀬くんはすんごい元気で、ムチャクチャご機嫌。
「うっま! もたもたしてたら溶けちゃうぞ?」
ブルーのアイスバーを咥えてガサゴソと袋の中を探り、ホレってスプーンを差し出してくれる。
そのキラキラと眩しい笑顔に私は目を細めた。

ああ、大好き。

このままずうっと彼のそばにいられたら。
こんなふうに変わらず、一緒に。

ふわふわとそんなことばっか考えながらアイスを食べていた私。
だけれどもこのすぐ後に、私たちの平和と均衡はあっさりと失われるのである。