ナナと一緒に戻ってくると、大喜びの冨永くんがブスッと機嫌の悪い加瀬くんをかまっているところだった。

「スゲーいい! スゲー似合う! 絆創膏とかやめて、そのままにしとけば?」

ギャハハって大笑いする冨永くんを無視して加瀬くんが私を見上げる。
「小宮山、鏡!!」
「ちょっとまって、スグ出すから!」
小さな手鏡を取り出して加瀬くんに渡すと、それを覗いた加瀬くんはピクリと眉をひきつらせて「はーあ・・」ってため息をついた。

「ひでえ」
「ゴ、ゴメン・・!!」

加瀬くんに鏡を持っといてもらって、ほっぺに絆創膏を貼りつけてみる。
うん、イケる。斜めにして2枚貼れば。
とはいえ、こんなモノはその場しのぎでしかない。

「ホントにゴメンね」
「いーよ、ユルス。仕方ねえもん」
べったり貼りついてる絆創膏の手触りを確かめながら、加瀬くんが手鏡をポンと返してくれる。
「けどこれ、どーやって落としゃいーの?」
「ええっとお・・」

4人で頭つきあわせて、スマホ片手にあーだこーだと話し合った。
「油ならなんでもいんじゃねーの? 油性なんだし」
「オリーブオイルとか?」
「いや、それよかクレンジングでしょ」
「クレンジングって何??」
「お母さんに聞いてみなよ。絶対もってるから」

結局、おうちでお母さんのクレンジングを借りて落としてみれば? ってことで話は一応決着したのだ。