ダラダラと長く続いた梅雨も終わり、カンカンと暑いある夏の日のこと。
数学の授業が終わるとすぐに、私はナナの席に走った。
佐々木ナナ。
荷物をたくさん持ち歩くのが好きな彼女のカバンには絶対に絆創膏も入っているはずだからだ。
「ナナ、絆創膏持ってるよね? 」
「持ってるけど、どしたの?」
ナナが心配そうな顔をしてサッとカバンに手を伸ばす。
「2枚ちょうだい。加瀬くんの顔に貼るから」
「2枚も!? 大ケガじゃん、大丈夫!?」
いやいや、違う。
ケガじゃないのだ。
「ペン、つけちゃった・・」
「は? ペン!?」
そうなのだ。今、加瀬くんの頬には、油性ペンの線が斜めに黒々と走っている。
やったのは私。
ついさっきまで、私たちはリレーでプリントをまわしていた。数学の小野先生は宿題のプリントを必ずこうやって授業の最後に配るのだ。
私はちょうどその時、提出用のファイルに名前を書いていて、右手に黒の油性ペンを持っていた。手元にばっか気をとられてて注意力散漫だった私は、うっかりむき出しのペンを持ったまま加瀬くんのほうへ手を伸ばしてしまった。
一方、加瀬くんは腕だけを後ろに送ってプリントを私に渡そうとしていた。彼の顔のすぐ横あたりで。
後はもう言うまでもなく、私のせいで今こんなことになってる。
数学の授業が終わるとすぐに、私はナナの席に走った。
佐々木ナナ。
荷物をたくさん持ち歩くのが好きな彼女のカバンには絶対に絆創膏も入っているはずだからだ。
「ナナ、絆創膏持ってるよね? 」
「持ってるけど、どしたの?」
ナナが心配そうな顔をしてサッとカバンに手を伸ばす。
「2枚ちょうだい。加瀬くんの顔に貼るから」
「2枚も!? 大ケガじゃん、大丈夫!?」
いやいや、違う。
ケガじゃないのだ。
「ペン、つけちゃった・・」
「は? ペン!?」
そうなのだ。今、加瀬くんの頬には、油性ペンの線が斜めに黒々と走っている。
やったのは私。
ついさっきまで、私たちはリレーでプリントをまわしていた。数学の小野先生は宿題のプリントを必ずこうやって授業の最後に配るのだ。
私はちょうどその時、提出用のファイルに名前を書いていて、右手に黒の油性ペンを持っていた。手元にばっか気をとられてて注意力散漫だった私は、うっかりむき出しのペンを持ったまま加瀬くんのほうへ手を伸ばしてしまった。
一方、加瀬くんは腕だけを後ろに送ってプリントを私に渡そうとしていた。彼の顔のすぐ横あたりで。
後はもう言うまでもなく、私のせいで今こんなことになってる。