どれだけ悲しくて、どれだけ悔しかったか。


今ようやく、ほんの少しだけ純平にわからせてやることができたはずだ。


「なに笑ってんだよ!」


隆夫の声がすぐ後ろに聞こえてきてかと思うと、襟を掴まれて引き倒された。


そのまま馬乗りになって殴られる。


僕は両腕を顔の前でクロスしてガードする。


痛い。


めちゃくちゃ痛い。


それでも僕の心はスッキリしていた。


母親の不倫のときと同じだ。


結果はあまりよくなかったかもしれない。


だけど、その経過は自分でもちゃんと納得できるものだった。