死ぬことは確定しているのに、どうしてこんなに頑張らないといけないのだろう。


「なんだよお前、諦めるのか?」


その言葉にハッと息を飲んで目を開けた。


純平の何気ない一言。


僕をバカにするために吐いた一言のはずが、胸の中に広がって行く。


諦めるのか?


死ぬと分かっているのに、やられたままでいいのか?


それはサッカー部で培って来た負けない気持ちだった。


どれだけピンチに立たされても、アデショナルタイムが終るまでは絶対に諦めてはいけない。


部活の顧問はいつもそう言っていた。


その瞬間、僕はサッカー場に立っていた。


相手チームとの点差は1点。


残り時間は10秒。