「お前本当に来たのかよ」


校舎裏へ行くとまずは隆夫がそう言って爆笑した。


体を曲げて本当におかしそうに笑っている。


「しかも1人で!」


追加でそう言い、また笑う。


2人とも僕に友人などいないと知りながらここに呼びだしているに違いない。


僕が1人で来るしかないことだって、わかっていたはずだ。


「用事ってなに?」


膝が震えてしまいそうになるのをどうにか押さえて、純平に聞く。


校舎の壁にもたれていた純平はようやくこちらへ視線を向けて、近づいて来た。


「大事な用なんだよ。ちょっと最近むしゃくしゃしててさ。ストレス発散したいんだよなぁ」


言いながらボキボキと指を鳴らす。


それは喧嘩に馴れた様子を演出しているだけだと頭ではわかっていた。


だけど僕の体は怯えてしまい、必死で押さえていた膝の震えが出てきてしまった。