うそだ。


まさか。


そう思っている間に純平と隆夫が顔をのぞかせていた。


『勝手に入ってすみません。まだかなぁと思って』


純平が調子のいい笑顔を母親へ向ける。


純平も隆夫も何度も家に遊びに来たことがあるから、それについて母親がなにかを言う事もなかった。


『いいのよ。この子もすぐ着替えるから、ちょっと待っててね』


母親はそう言うと上機嫌に部屋をでて行ってしまった。


パタンッと軽い音で閉められたドアは、僕と外界を遮断する重たいシャッターみたいだ。


『お前、なんで昨日来ないんだよ』


母親が部屋を出た途端純平の態度が変わった。


眉間にシワを寄せ、ジリジリと近づいてくる。