「ごめん」


今のは絶対僕がドアを開けるタイミングでわざとぶつかってきたと思うけれど、グッと言葉を押し込めた。


「あれ、なんでスリッパなんだよ?」


純平の後ろから隆夫が顔を出して突っ込んでくる。


どうせこの2人の仕業だと思うけれど、こうしてしらを切ってわざと聞いてくるのだ。


「別に、どうもしないよ」


そう答えて2人から逃れようとするのだけれど、純平に腕を掴まれてしまった。


その瞬間鋭い腹痛が襲って来て体がくの字に曲がる。


一瞬にして背中に冷や汗が流れて行き、呼吸が荒くなる。


立っているのもやっとの状態で隆夫が後ろから背中を蹴って来た。


純平の腕が離れて僕の体は倒れ込む。


「おいおいこれくらいで倒れるなんて冗談だろ?」


隆夫と純平の笑い声が降り注ぐ。


蹴られた痛みは大したことはなかった。