僕の上履はボロボロに切り刻まれているのだ。


一旦手に取ってそれを見つめ、とてもはけたもんじゃないなとため息を漏らす。


上履の底まで切られていて、粘着質な悪意を感じる。


ゾクリと背筋が寒くなったので、それを振り払うように強く身震いをした。


仕方ない。


今日は来客用のスリッパで過ごすしかなさそうだ。


後日購入すればいいと思って来客用のスリッパをはいたとき、8日には余命宣告を受ける自分がまだ学校へ来ようとしていることに気が付いて思わず笑って
しまった。


僕も真奈ちゃんと同じように学校をさぼってしまってもよかったかもしれない。


律儀に2年A組の教室へ向かう自分がおかしかった。


「おーっと、なんだよ邪魔だな」


教室に入るためにドアをあけた瞬間中から純平が出て来てぶつかってしまった。


純平はサッカーで鍛えた体で僕の前に立ちふさがる。