7月6日。


今日までループすることなく毎日が過ぎている。


「言ってらっしゃい」


母親からお弁当を受けとり、なんとなく互いにはにかんでみる。


母親は今日もこれから引っ越し準備を進める事だろう。


7月中には出ていくつもりだと、昨日キッチンで聞いたばかりだ。


そう思うとやはり寂しい気持ちは出て来るけれど、それも受け入れていくつもりだ。


いつものように馴れた道を歩いていると、途中で胃が痛くなって立ち止まった。


過去を変えてもこれだけはどうして変えることができないみたいだ。


そりゃそうだよな。


今日昨日に始まったことで余命宣告を受けることはないだろうから、僕の体はもっとずーっと前からむしばまれていたんだ。


たった一週間戻ったところで、どうすることもできない。


それでもどうにか歩いて昇降口までやってきた。


靴を履き替えようと視線を上げて、動きを止める。