母親も父親も自分が思っているよりもずっと老けていて、モヤモヤとした時間が随分と過ぎてしまっていたのだと気が付いた。


「……そうだよ。僕は迷惑してる」


声がかすれてうまく出なかった。


だけど2人の表情を伺うと、その言葉はちゃんと届いていると理解できた。


母親も父親も目を丸くして僕を見ているから。


「僕だけなにも気が付いてなかったと思う?」


その言葉に母親が俯いた。


父親にも僕にもなにもかもがバレていたとわかり、さすがに気まずそうな雰囲気が流れる。


だけど母親だって僕たち2人が不倫に気が付いていることに、感づいていたはずだ。


日ごろからずっと一緒にいると、そのくらいのことお互いがわかるようになってくる。


「ごめんね」


母親は視線を逸らしたまま言った。