髪の乱れた母親は突然の訪問客にしどろもどろになって、キョロキョロと周囲を見回した。


この惨劇を見られたら、誰だってどうしていいかわからなくなるはずだ。


「高橋くんのご両親ですね」


真奈ちゃんの冷たい声がリビングに響く。


「は、はい」


父親が恐縮したような声で頷く。


真奈ちゃんは父親の方を軽く一瞥すると、また母親へと視線を戻した。


どうやら真奈ちゃんは母親にロックオンしているようだ。


「真奈ちゃん、これにはちょっと事情があって」


真奈ちゃんが話し出す前に止めに入る。


チャイムも鳴らさずにズカズカと入り込んで来た真奈ちゃんに、両親が耳を貸すとも思えない。


しかし真奈ちゃんは止まらなかった。


「あなたたちのせいで高橋くんは迷惑しています」