本当は友達と呼んでいいのかも怪しい存在だ。


「そうか、遊ぶ約束をしていたのか」


父親がいいように勘違いをしてくれた。


息子の友人がそろそろ家に来るとなると喧嘩なんてしていられない。


2人分の怒号が鳴りやんだおかげで家の中はようやく静かになった。


でも、片づけをしている時間はなさそうだ。


真奈ちゃんの家からここまで何分かかるのかわからないけれど、とにかく僕は着替えをしないと……。


と、思った矢先に玄関の開閉音が聞こえてきて3人同時に入口へと視線を向けていた。


「やだ、出かけるから玄関を鍵を開けておいたの」


母親が慌てて玄関へ向かう。


しかし少し遅くリビングへ出る前にそのドアが開いて真奈ちゃんが入って来ていた。


そして部屋の惨劇を見て両親へ視線を向ける。


その真っ直ぐな視線に僕たち3人はたじろいでしまう。


真奈ちゃんは足元に気をつけながら母親へと歩み寄った。