リビングからはまだ両親の怒鳴り声が聞こえてきているし、僕も起きぬけのパジャマ姿でとても人前に出られる恰好ではない。


恰好はこの際どうでもいいとして、とにかくもう1度真奈ちゃんに連絡しないと。


すぐにスマホを操作して真奈ちゃんに電話をかけるけれど、今度は何度かけても出てくれない。


もうすでにこちらへ向かっているのかもしれない。


それならとにかく両親の喧嘩を止めようとリビングへ向かった。


歩くたびに怪我をした足が痛むけれど、そんなこと構っていられない。


「子供もいるっていうのにお前は恥ずかしくないのか!」


「なによ、子供がいる女は外へ出ることもできないの!?」


「そんなこと言ってないだろ!」


ガチャンッ! ガチャンッ と、物が飛ぶ音も聞こえ続けている。


さっきよりも更にヒートアップしているその部屋に入るのは勇気が必要だったけれど、思い切ってドアを開けた。


その瞬間ぬいぐるみが飛んで来て僕の顔にぶつかった。