それでも両親の喧嘩は止まらない。


父親の怒号、母親の泣き声。


次々飛んでくるお土産の置物。


「2人とももうやめてよ!」


怒鳴ってみても2人の耳には届かない。


「お願いだから、ねぇ!」


2人の間に割って入っても2人とも僕が見えていない。


一瞬自分が透明人間にでもなってしまったんだろうかと不安になった。


でも違う。


僕はちゃんとここに存在している。


だけど2人には見えていない。


僕は2人の子供のはずなのに。


スーッと胸の中が冷えていく。