前回の7月2日を思い出す。


あの日も母親は着飾って家を出て行った。


父親はそれに対してなにも言わなかったはずだ。


じゃあ、どうして?


2度目になって突然変化した展開についていけない。


だけど思い当たることはひとつだけだった。


僕が昨日母親の不倫現場を目撃したことだ。


僕はループする前にそんな現場をみたことはなかった。


つまり、たったそれだけのことで7月2日の行動が変わってしまったということ。


「信じられるわけがないだろう!」


父親の怒鳴り声が聞こえて来たかと思うと、花瓶が割れる音がリビングに響いていた。


僕は咄嗟に身をかがめる。


「なにするのよ!」