前から歩いてくるOL風の女性が突然立ち止まった僕に迷惑そうな顔を向けて歩き去っていく。


これから先もなにも変わらないのかもしれない。


学校へ行ってイジメられて。


家でも居場所なんてなくて。


そのまま余命は過ぎていくのかもしれない。


そう思うと途端にこの世界にしがみついていることが空しく感じられた。


それならもういっそ、このまま、今消えてしまったっていいんじゃないのか?


僕のこの考えはきっと間違っていない。


誰でも僕と同じ境遇になればきっと理解してくれる。


そう思っている間に、僕は近くにあったビルの外階段を上がりはじめていた。


これが何のビルなのか、何階建てのビルなのかなんて少しも見ていなかった。


とにかく最上階へ上るために歩調はどんどん速くなっていく。


カンカンカンと足音を立てながら登って行くとすぐに屋上へ続く扉に到着した。


そんなに高いビルじゃないのかもしれない。


だけど人間は3階分の高さがあれば死ぬことができると聞いたことがあった。


もう5階分くらいは登ってきているはずだ。


あとは屋上へのドアが開くかどうかだけど……。