確かに、余命宣告されただけで時間が撒き戻るのなら、世界中の人たちがループしまくっているかもしれない。


「もう少し情報がほしい。教えてくれない?」


真奈ちゃんの声からは冷たさが消えて、優しさがにじみ出て来ていた。


目の前の人間の命がいくばくもないとわかると、どんな人間でも優しくなるものなのかもしれない。


僕はゆっくりと話はじめた。


学校でのイジメのこと。


家族内でも居場所がないこと。


余命宣告をされたときには、もうこのまま死んでしまってもいいと考えたこと。


長い長い話をしているとき、真奈ちゃんは黙って僕の話に耳を傾けてくれていた。


そして一通り話を終えた時、僕はようやくもうひとくちジュースを飲んだ。


ここまで一気に話をしたから喉はカラカラだ。


サイダーの刺激が喉を通って行くと行き帰るような気分になる。


同時に今まで誰にも言えなかったことを全部吐きだしたことで、気持ちがスッキリしていることに気が付いた。


今なら死のうなんて考えないかもしれない。