一体なにが起こったのか理解できなくてキョトンと周囲を見回してみる。


今の時間帯は僕たち以外にお客さんの姿はなくて、店員も奥に引っ込んでいて見えなかった。


恐る恐る視線を前へと戻してみる。


そこには仁王立ちをして僕を睨みつけている真奈ちゃんが立っていた。


あれ、さっきまで座ってなかったっけ？


そう思った時、真奈ちゃんの右手にグラスが握られているのが見えた。


グラスは傾けられていて、中身は空になっている。


「あなたが死ぬと私まで戻る事になる。もう二度としないで」


冷たい声だった。


突き放す、拒絶する声。


僕は茫然として真奈ちゃんを見つめる。


確かにこれは僕の責任かもしれない。


でも、だからってこんな。


急激に腹が立って行くのを感じる。