そのどれもがまるで現実感がなくて、夢の中に迷い込んでしまったかのようだ。


あてもなく歩いていると今日の出来事が頭の中に浮かんできた。


『おっと、お前、邪魔なんだよなぁいつも！』


２年A組の教室内でわざと僕にぶつかって来た純平がしかめっ面をして入った。


僕はぶつかられた右肩を押さえて『ごめん』と小さな声で謝罪する。


そうしている間に今度は後ろから来た隆夫が通りすがりに僕のわき腹を殴って来た。


思わずうずくまり、顔をしかめる。


きっと隆夫は手加減していたと思う。


だけど最近僕の体調はよくなくて、特にお腹周りが痛くなることが多かった。


そんなときにわき腹を殴られたので、うめき声が漏れてしまう。


『なんだよ、そんなに大げさにして』


隆夫が僕を見下ろして鼻で笑う。


僕はどうにか隆夫を見上げて『別に……』と、小さな声で返事をした。


だけどそれが癪に障ったらしい。


隆夫は僕の胸倉を掴んで無理矢理立たせると突然殴りつけて来たのだ。


思いっきりふっとばされて床に転がると、純平の高らかな笑い声が聞こえて来た。